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2013.09.04 - 2013.09.28

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2013.08.16
Fri
text by DT

GGGにて開催される「PARTY そこにいない。展」を、

一緒につくっていただいている方々をご紹介しております。


今回はバックエンドでお世話になっている河津佳章さんにお話しを伺ってきました。

デジタルの仕事では欠かせないプログラミングには、大きく分けて「フロントエンド」と「バックエンド」という二つの分野があります。動きや表示の移り変わりなど、見え方の部分に大きく関わるフロントエンドに対して、バックエンドはシステムの根幹の部分であるサーバーやデータベースの部分を担うポジションです。そのバックエンドの分野について、ていねいに教えていただきました。


普段はどんなお仕事をされているんですか?

昼は会社に勤めていて、夜は自分がつくった会社(株式会社ずんシステム)で仕事しています。両方とも内容的にはあまり変わらないんですが、webのシステム開発だとかサーバーまわりを担当しています。


「システム開発」って言うと、なんとなく思い浮かぶのはフロントエンドのことなんですが、河津さんはバックエンドのシステムを扱っているんですよね?

そうなんです。僕はむしろバックエンドしかできない。フロントエンドは...やりたいんだけど、全然センスがないっていうか(笑)


その二つ分野で、最も違いの出るところはどこだと思いますか?

フロントエンドはとにかく動きのかっこよさとか、表現したいものがいろいろあって、見た目とか手触りに注力できるところだと思うんですけど、逆にバックエンドとかサーバーサイドは、複雑な処理自体はそんなにないです。

一番違うのが、相手にするのが1人じゃなくて数千人、数万人ってなったりするところですね。たとえばwebで1万人のアクセスがあると、単純計算で1万分の1ずついろんなユーザーに対して処理の方法を分けてあげなければいけないので。そういったところで「負荷の集中」に備えるって言うのが、いちばん気にするところですね。

単純なプログラムだったら、リクエストを受けたらその場でデータベースを検索してデータを返せばいいんですけど、数が増えてきたらキャッシュを活用したりとか、それでも足りなくて検索が追いつかないってなったら、今度はデータベース自体を複数に分割してっていう処理をしたり。というような構成を裏で書いていますね。表側は変わらないけど。


まさに「縁の下の力持ち」っていう感じですね!

そうですね(笑)


普段はどういうお仕事をされてるんですか?

昼間の会社も社員は僕をふくめて3人、あとは経理の人とアルバイトが3、4人かという感じで、じぶんの会社とノリはあんまり変わりませんね。昔はすごく大きな会社が高額なシステムを売っていたんですけど、フットワークが良くていろいろ対応できるっていうところで僕たちみたいな少数の会社が仕事を受けられるようになって。仕事の幅が大きくなっていった現在では立場が逆転してしまって、基本となるシステムをほとんど奪ってしまっていたりします(笑)


すごいですね!少数の会社でそういう大きい仕事を受けると、1人の負担が大きくなったりはしないんですか?

んー、逆にそういう仕事ではできるだけ人の手が離れてもいいような仕組みをつくることが求められるので...。「残業しない」っていうのも「残業するような状態になったら負け」っていうか...できるだけ多重化して、サーバーが落ちても大丈夫な状態にするっていうことが仕事のメインの部分なので。負荷分散をするなりして、いかに「死なないシステム」をつくるかというのが大切ですね。まぁ、自分たちがよく寝れるように(笑)


なるほど、それがお仕事の信頼につながっているっていうのは素敵なことですね。

ちなみにPARTYとはどういうつながりでお仕事されているんですか?

もともと中村洋基(弊社クリエイティブディレクター)さんが電通にいたときから共通の知り合いを介してキャンペーンの仕事をやったりしていて、その流れでPARTYの仕事にも関わっています。


クリエイティブと一緒に並んで仕事をするというのは珍しいことなんですか?

普段の仕事ではあまりないですね。僕は自分がサーバーサイドの扱いが得意で、Twitterとかでもそういう人ばかりフォローしてるから(笑)そこらへんの情報は入ってくるんですけど、逆にフロントの人とはあまり接点がなくて。自分で何かつくろうとしても、フロントできないやって思っていたんですけど。逆にPARTYの人はバックエンドがそんなに得意じゃなかったりして。お互いに強みを活かしあってやっていますね。


PARTYがやっているようなプロジェクトでは、バックエンドとして求められることが違ったりもするんですか?

基本的に求められることに変わりはないですね。「安定性」「落ちないこと」「さばききること」です。


そこで言うと、人が来るぶん「しんどい」って思うようなこともあるんですか?

いや、そこは逆に楽しいですね。PARTYの仕事とかってものすごいアクセスが来ることが多いじゃないですか?自分で何かつくってもそんなにPV数(サイト閲覧数)を稼げるものってつくれないので。こういう(サーバーサイドの)仕事をしていると、「大量のトラフィック(サイトへのアクセス)をさばいてみたい」っていう欲があったりして(笑)経験してみたいんですよね。

「負荷分散」とか「耐障害性」の新しいシステムって、勉強はするんだけど活かす機会が無いんですよね。自分でやっててもそこまで大規模にする必要も無いし、お金もかかるし。


お互いにちょうどいいチャンスなんですね。

そうそう(笑)

河津さん_1.jpg

バックエンドの方が「設計」っていう言葉を使いますが、具体的にはどういう意味なんですか?

基本は扱うデータの構造ですね。どんなデータを扱って、それをどう分類して保存したら、管理しやすいかってことを考えたりとか。あとはデータごとの「結びつき」とかがあるから、その構造を考えたり。特に業務システムとかは、論理的に矛盾のあるデータ構造だとあとあと破綻してしまうので。

たくさんの人の持っているデータをどう分類して、どう関連づければ見やすいか、無駄がないか、そういう「さばき方」のところをいつも考えていますね。

そういう意味では、今回の展示ではそこまでたくさんの人が同時にシステムに触れたりということはないので、あまり難しい種類の仕事ではないですね。


ものすごく安心感のあるお言葉ですね!

システムを作った後はどんな仕事がメインになるんですか?

リリースが終わった後の安定期には、基本的にはリソースの管理が主な仕事になります。エラーが出ていないか、サーバーとして余裕があるかどうかなどを管理したり、ログデータがたまりすぎていないか見たり。あとは個人情報を扱うような仕事なら、セキュリティについては当然気にしたりするけど、そのあたりのことは普段から当たり前のようにやっていることなので。

どの段階でも、最近はできるだけ家に仕事を持ち帰らないようにしています。昔は常にPCを持ち歩いていて、週末もずっとプログラムを書いたりしていましたが。結婚してからはそれだと怒られてしまうので(笑)そもそもが、できるだけ「楽をするためのシステムをつくる」というのが目的なので(笑)


「楽をするためのシステム」って素敵ですね。

トラブル対応はなるべく少なくしないといけませんからね。バックエンドの仕事をしていて、一番嫌なのが「ハードウェア障害」なんですけど、それは一定の確率で必ず起きてしまうものなんですよね。数百台のサーバーを所有していれば、物理的な故障は必ず起きてしまう。夜中に起こされて車でデータセンターに向かうハメになるなど、非常に気が滅入る作業です。それが嫌だから色々工夫する。楽するためなら徹夜も辞さず、です。

ただ、ここ数年でAmazonなどがクラウドサーバーを提供し始めてからはそういうことから解放されてすごく楽になりました。今まではサーバーのピークを想定してハードウェアを揃えると、サーバー10台で数百万円くらいしてしまうわけです。でもピーク以外のときはほとんど使われていなくて...もったいないなって感じていたんですが、そこの部分がクラウドの登場で柔軟になってきたので、すごく助かっています。サーバー負荷が上がると自動的にサーバーが増えるような設定もできるので、コスト的にも無駄がなくなりました。クラウドが使えるようになって、1人でも数百台のサーバーを管理しやすくなりましたよ。


先ほどお話ししていた個人情報のところで、クラウドだと不安があったりはするんですか?

そのあたりのことは基本的に変わりません、個人情報の漏洩はサイト自体の脆弱性やプログラミングのミスが原因であることが大半ですので。他には内部犯による流出や物理的な侵入リスクなどもありますが、こちらに関してはむしろメジャーなクラウドの方が信頼できますね。AmazonISO27001SOCなど多くのセキュリティ標準の認証を得ていますし、下手な中小企業や自分なんかが自己管理するより遥かに安心です(笑)



変な質問ですが...映画やドラマに出てくる「ハッカー」と戦うのって、まさに河津さんのポジションなんですよね?

そういうことになりますね!僕は防御する側なので。世間がイメージするような「ハッカー」っていうのがいるのかどうかは別として、インターネットにサーバーを公開していると日々攻撃は来ていますよ。「踏み台サーバー」という、なりすまし用のサーバーをつくるために攻撃してくるウィルスがいて、それに乗っ取られてしまうと不正アクセスを自分のサーバーから行われてしまったり。


そういう攻撃がされているときって、サーバーのデータとかを見ていてわかったりするんですか?

一度「侵入」されてしまうと気付くのが難しいことも多いです。侵入者の立場からしたら気付かれることはデメリットでしかないので、痕跡は出来るだけ消しにきますから。なのでモニタ上に爆弾マークが出てどっかーんと自己主張することは普通あり得ないですね、親切すぎます(笑)

なので、基本は侵入させないことですね。セキュリティをしっかりして門を閉めておくのが大事です。そういうのは若い頃「やられる側」になったときに初めて気づいたりしたこともあって。そのときの経験がいま役立っていますね。

ハッカー側のことがわからないとこちらも守りようがないので、そういう知識も普段から勉強しています。だからなろうと思えばハッカー側にもなれますよ(笑)


そういう(ハッカーが出てきたりする)漫画とかお読みになったりするんですか?(笑)

そういうのをあえて選んで読むことは無いですが。漫画や小説は好きでなんでも読む、かなりの雑読です。家に15000冊以上蔵書があって、いまだに毎月3万円分くらいは買っています(笑)


すごいですね!多彩なんですね。

多彩というか、好きなことしかやってこなかったんです(笑)話しに出ていないことはほとんど知らないことですよ。


学生の頃はどんなことをしていたんですか?

中学生の頃はハンダもって機械工作とかをしていて、高校・大学くらいからはソフトウェアばっかですね。もともとゲームっこで、ゲームつくる人になろうって考えていたので、プログラムとかそういうのを勉強していたんですけど...そのうちゲームつくるのはいいんだけど、センスねぇなって(笑)

僕がつくると、見た目が○とか□とかだけになっちゃうので(笑)

あとは、そういう見た目の部分をすごくできるやつがいて、同じことやってたらこいつには勝てないなって思ったんですよね。それならかぶらないところでってことで、サーバー側のことを勉強してみようかなと。


その延長でいまの仕事をなさっているというのはすごいですね!

みんながやってなさそうなことにどんどん手を出していったんですよね。とりあえず自作サーバー立てて、ファイルサーバーつくってみたりとか、そのファイルサーバーを知り合いに公開して、みんなとファイル共有したりとか。メールとかも、ふつうに大学の用意したやつ使ってたけど、ドメインて自分で取れるらしいってことを知って、ドメインの立て方とか、メールサーバーの立て方とかを勉強して。このへんだったらみんなやってないからやってみよう、と。自分がそうやってずっとやってきたことを、PARTYの方は逆にやっていなかったりするから、棚ぼた的に仕事が入ってくるので(笑)

僕の会社のホームページを見てもらえると、いかに僕がフロント弱いか、というか、やる気ないかってことってことがわかりますよ(笑)


河津さん_2.jpg

「ろくろ」は回さずに写真撮影(笑)


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私たちに、とてもわかりやすくバックエンドのことを教えてくださった河津さん。柔らかい物腰と笑顔に、計り知れない安心感を感じました!

これからも引き続きよろしくお願いいたします。