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DATE:

2013.09.04 - 2013.09.28

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ginza graphic gallery

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2013.08.27
Tue
text by Masashi Kawamura

鋭意準備中の「そこにいない。展」ですが、いろんな方からそもそも「そこにいない。」ってどういうこと?という質問をちょこちょこいただいたりするので、この辺りでそのコンセプトにも触れておいた方がいいかなと思い、久々にブログというものに書き込んでみます。

インターネットが普及して世界中のどこにいても誰とでもつながれてしまう世界に僕らは住んでいます。そんな中では必ずしも「そこにいる」ということが重要ではなくなっているのかもしれない?ということをみなさんといっしょに考えてみたくて、このテーマで展示を作ろう!ということになりました。テクノロジーと物語を絡めていろんな実験をしてきたPARTYには、なんだか合っているテーマな気がしたのです。


少し言い換えて補足すると、最近「そこにいなくても良い」状態がテクノロジーによってドンドン生まれてきています。例えば生活上でのユーティリティでいうと、遠隔医療とかCourseraなどの遠隔学習やUniversity of the Peopleのようなオンライン大学などがあります。もっと身近な例でいうと、FacebookといったSNSやGoogle Hangoutのような無料ビデオチャットシステムや、Doubleのような操作可能なビデオチャットロボといったツールを使えば、そこにいなくてもそれなりにコミュニケーションがとれてしまいます。僕の昔作ったミュージックビデオ「日々の音色」では、そのままこのツールを題材に、全編webカメラを使って撮影して世界中の「そこにいない」人同士をつなげようとしてみました。


この例のように、表現の領域でもこのコンセプトは様々な形で息づいているように思います。例えば2012年のCoachellaでのHologram Tupacとかは、亡くなった伝説のラッパー2pacのパフォーマンスをリアルなCGで再現し、ホログラムでステージ上に蘇らせました。また友人のZachたちが制作したEyewriterは、ALSという病気で体が麻痺してしまったグラフィティアーティストが再び絵を描けるようにと作られた、目線だけで絵が描けるシステムです。そのシステムを使って、絵を描けるようにするのはもちろんのこと、リアルタイムにその描かれていく絵をLAの街角にプロジェクションすることによって、そこにいない彼に再びストリートアートを描けるようにしてあげました。両方の例ともテクノロジーによって距離や時間を飛び越え、「そこにいない(けどあたかもそこにいる)」状態を作っています。うまく言葉にできないけど、僕はなんだかそこにロマンを感じてしまいます。


またその逆で、そこになくても良いものや、逆にそこに実際いないとダメなものについても考えさせられます。例えば音楽業界では、曲のダウンロード販売/違法ダウンロード問題などが進む中、ライブやマーチェンダイスがより大事にされてきていたりします。データの圧縮率の違いは聞き分けられなくても、実際の空気の振動、生で奏でられる音を体験することは誰にとっても明らかに違って感じられる。自分の仕事でいうと、企画や制作のある部分はそこにいなくても可能だが、プレゼンやフィニッシュなどはやはりそこにいないと難しかったりする。そこにいることによる解像度の差。物感、質感、空気、温度。テクノロジーがどんなに発展しても、インターフェースである人間の感覚器が変わらない限り、認識できるインタラクションの限界も変わらないわけです。いろんなテクノロジーによって、そこにいなくてもそこにいるかのような感覚を持てるようにはなったけど、結局、好きな人と触れ合う喜びにビデオチャットは適わない。そんなことをふと一人、深夜のオフィスで思う訳です。疲れてますね。


話を戻して、んで、実際じゃあどういう風にそれを展示にしているのよ?と言われると説明が難しい。なるべく多角的にこの「そこにいない。(けどいる)」ようなことを考えてもらえるような展示を目指しています。本当は新作だけを展示したかったんだけど、アーカイブ展にしなくてはいけないらしく、それならということで過去の作品を見せる手法としてこの「そこにいない。」をテーマにした新作インスタレーションを複数制作中です。僕の担当している3作品のキーワードは「そこにいないものを見る」、「そこにいないはずの世界で遊ぶ」、「無駄にそこにいない」。気づけば展覧会まであと10日、スタッフ一同頑張って面白い展示にします!判るような判らないようなコンセプトかと思いますが、その疑問符をお持ちのままお越しいただけたらと思います。